コンクリート道床への弾性締結
地下鉄の開通、高架鉄道の増加等軌道のコンクリート道床化はますます進み、一方ではモータリゼーションの進化によって踏切道の保守か困難を極め、その結果、連接軌道やレールの弾性直結の解決策か必然的に要求されてきていた。渡辺社長は、連接軌道の開発に着手した昭和30年代の始めから常にコンクリート道床への弾性締結の研究・努力を行ってきた。そして33年に至りVばねを開発してその研究を一歩も二歩も核心に進めたことは前章で述べた。
この当時、渡辺社長を始め当社の技術陣が、コンクリート道床にレールを直結する条件として何を求めたかを後にまとめられた連接軌道とコンクリート短プロックの解説書ともいえる『コンクリートにレールを弾性直結する方案』 (B 5判88ページ、昭和37年10月発行)から見てみよう。




品川駅構内に敷設された短まくらぎ
①レール支承体の弾性
一般軌道におけるパッドの使命は、まくらぎ食込の防止であり、コンクリートまくらぎにおいては、緩衝材としての役割を負っていた。しかし、防振や防音には有効ではなかった。したがってコンクリート道床のような弾性に乏しい場合のレールの締結には、従来型をのりこえたパッドとクリップばねが開発されなければならなかった。
②通り高低の調節
コンクリート道床にレールを直結してしまうと容易にレールの通り直しかできなくなる。そのためには、あらかじめ整正できる構造にしておかねばならない。
③レール圧力および横圧に対する許容応力
支承体当りの最大支圧力ならびに最大横圧力に十分耐えられ,弾性支承の効果かあって耐久性かあることが必要であった。すなわち、パッドの材質硬度、形状率、ばね定数の選定やこれに伴うレールクリップのばね力、たわみ量、疲労限界などを考慮に入れた締結構造とする。
④敷設施工法の簡易化
施工を容易にする締結構造とは、敷設後軌道の整正が可能であり、かつまた部品類か単純で防錆、耐摩耗、交換性、互換性などに富むほか取り付け操作か容易であるという現場作業上の要素を必要とする。
⑤耐久度と保守
耐久度を向上するために、防振効果の良好な締結装置であること。また、防錆処置が完璧であること。
保守の点からは、軌道狂いが起りにくく、初期狂いを早期に修正できる構造であること。また、レール更換時にアンカーボルト類が緩解自在であることが望ましい。
NS型弾性締結の開発
これらの「コンクリート道床への弾性締結の研究」の結果、 5つの条件を満たすものとして開発されたのがNS型レール弾性締結装置であった。
この締結装箇は、運輸技術研究所において実験と改良か繰り返され、さらに昭和34年から2年間に及ぶ敷設実績を経て実用化されたものである。
この解説書がまとめられた昭和37年10月ころには、すでに 200箇所以上の連接軌追において使用されていた。
なおNS型弾性締結の特長は次のようなものであった。
①レールクリップ用Vばねの変動たわみ鉱が大きく低ばね定数のパッドが使用できる。
②横弾性を定性的に取り入れられる構造で、横圧に対する応カの配分が良好となり締結用部品の強度をローコストで確保できる。
③曲線用として実用的である。
④電蝕の恐れのある所では電気絶縁処理をコンクリートブロック表面に施し二重絶縁できる。
⑤ボルト引き抜き抵抗が極めて大きい。
⑥取りつけか容易である。
⑦防錆を考慮してある。
⑧50 Tレールもクリップのみの交換敷設できる。
⑨高低直しは1mmピッチで9mm,軌間は18mm調節することかできる。
このNS型弾性締結を行ったのが、NS型コンクリート短枕木(NS短ブロック)である。
後にロッキードモノレールの軌条敷設工事にも、このNS型短プロックの締結技術か応用されるのである。

NS型レール締結装置

東京駅構内に敷設されたNS型短まくらぎ