RCまくらぎとペンギンばね釘の開発
当社では利根工場が稼動しはじめたころから、より実用性の高いコンクリート枕木の開発に取り組み、次のテーマのもとに研究を進めていた。
①木材より安い
②レール締結部のシンプル化
③横弾性に強い
④道床挫屈抵抗が多い
⑤脱線防止用ガードレールが取り付けられる
この開発の過程で昭和35年にはPCコンクリート短まくらぎを、 38年にはコンクリート道床用NSブロックなど、弾性締結を応用した製品をひと足早く世に送りだしたが39年に至ってアングル継材付のRCまくらぎを開発した。
このRCまくらぎは、匐進、パッドのズレ出し等の弛緩現象の事前照査が目測でできる現場向き構造で、RC型としたためPC型に比較して次のような特色がある。
① 最大曲げモーメントが極度に減少し、鉄筋散が減るため安価となる。
② 製作が容易で運搬に便利。
③ 敷設が容易
④保守は全面タンピングとして,軌間中央部を空ける必要がない。
⑤匐進防止効果が大きい。(阪大実験による)
⑥張り出し抵抗が大きいため, ロングレールに向く。
⑦中央部のアングルが可撓性に富み、道床の沈下とレール波状摩耗等に対して有利。
⑧PC型に比して格安。

また、 タイバ一部は溶融亜鉛メッキし、コンクリート嵌合部に絶縁体を挿入して強力接着するため防錆と電蝕防止を兼ねる。
一方、昭和41年に至り、コンクリートまくらぎの締結用として試作実験を重ねていた“新しいばね釘"の開発に成功。支持力、抜き取り、 たわみ量、横圧抵抗、 互換性等で従来の犬釘より優れたこのばね釘はその形状がペンギンに似ていることから「ペンギンばね釘」と命名された。

なお、ペンギンばね釘の特長は次のようなものであった。
①支持力
ナイロン樹脂製の受栓は、 内面が波状になっているので、ばね釘が強圧嵌入されても逃げ代があるため、圧縮弾性をもつことができる。 また、ばね釘の中央部には3mmの弧状すき間があり、全密着時には約1.8 tのばね力を出す。
以上による総合的弾力と楔力で抜き上り支持力を確保するため、 打ち込み打撃力は犬釘の1/2以下でありながら振動浮き上りは起こらない。
②抜取り
抜き取りはばね釘の図心を引き抜くためバールでの抜き取りが容易である。
③軌間調節
-5 mm+lOmmまで2.5mmピッチで調節可能。
スラックの大きい線区では固定スラックをマクラギの繋材拡張により定める。
④打込み及び抜取り技侮
木材の犬釘孔と異なり、孔部が強靱でかつ打ち込み打撃力も少ないため、 犬釘の打てない者でも正確に作業できる。
⑤レール種別互換性
37 K, 40N, 50 PS, 50N各レール共に互換性がある。


RC枕木の実験とペンギン枕木の実用化
RC枕木の開発にあたっては、川崎製鉄朦千葉製鉄所と共同研究を進め敷設実験は同製鉄所曲線軌道で行われた。
同製鉄所の構内軌道は全長100 kmうち保守困難な重軸重線区(鋼塊線、 溶銑線など)は24.7 km、この重軸重線区には半径90m内外の急曲線が多いのに対し、運転される鋼塊車や溶銑車は軸重38 t内外の重軸重車両で、そのボギー台車の転向性もよくなく横圧力も過大で、運転速度は20 km/h程度であったが通トンは年間1,700万tもあって軌道保守は非常に困難な状況下にあった。



敷設実験の結果次のような評価を受けた。
「RCまくらぎ(ペンギンばね釘、チョック付)を採用することにより、価格的には従来のまくらぎにゲージタイを取付ける場合より高価となるが、耐久力が10倍程度期待され、保守更換費の節減が62%の高率となり、年間単線軌道1キロ当たり320万円の利得となり、きわめて経済的である」(「鉄道線路」研究報告)
なお、このRCコンクリートまくらぎにペンギンばね釘でレールを締結する“RCペンギンエ法”の特長は次の5項目にまとめらる。
① 敷設現場の最寄地区で容易に製造できるポータブル型枠の開発により、運賃の節滅ができる。
② チョックを取り付け微調整ができるとともに、横弾性支持力がきわめて大きい。
③ ゲージタイをまくらぎ1丁置きに挿入しないとゲージ拡大を起こすような製鉄所構内急曲線にもゲージタイなしで使用できる。
④ 日軌式ガードホルダーにより、脱線防止ガードレルの役割を果たすことができる。
⑤ 道床の横抵抗を倍加させるための挫屈止板が容易に着脱される。
昭和43年以降、RCペンギンまくらぎは、急曲線や超軸重軌道を中心に、敷設実紹を上げていった。
